「あ、玲奈」
さも今思い付いたかのように、みのりは部屋を出て行こうとする玲奈を呼び止めた。
「甘いモノお好きかどうか分からないけど、ひとつ、お父様に。それから……お線香、あげさせてもらっていいかな」
一瞬だけ、部屋に緊張が戻った。
漸く笑えるようになった玲奈に、もう少しだけ辛い現実を忘れさせていた方が良かったのかもしれない。
けれどそれがみのりが思う死者への礼儀であり、周りが何を言っていようと自分には敵意はありません、という彼女なりの意思表示でもある。
さも今思い付いたかのように、みのりは部屋を出て行こうとする玲奈を呼び止めた。
「甘いモノお好きかどうか分からないけど、ひとつ、お父様に。それから……お線香、あげさせてもらっていいかな」
一瞬だけ、部屋に緊張が戻った。
漸く笑えるようになった玲奈に、もう少しだけ辛い現実を忘れさせていた方が良かったのかもしれない。
けれどそれがみのりが思う死者への礼儀であり、周りが何を言っていようと自分には敵意はありません、という彼女なりの意思表示でもある。


