「なんでお母さんがそう思うのか、私には分からないわ。今からでも全部ぶちまけてしまえばいいじゃない。だってお父さんには、世間から責められなければならないとこなど何もなかったじゃない。お父さんが可哀相よ」
母を責めたくはなかった。
だから玲奈は、我慢できない不満をココアが揺らぐマグカップへ向けて吐き出した。
攻撃的な感情を孕んだ言葉を受け、甘ったるい蒸気が迎え撃ってくる。
疲れた頭と心を癒すためにココアで糖分を摂って温まろうとしていたはずなのに、酷い吐き気がした。
「お父さんはこの家の人よ。私たちの家族よ。ジェシカとどれだけ愛し合ってたか知らないけど、何十年前の話? 今は赤の他人じゃない。向こうに家族面されて、お父さんを奪われて、その上お父さんが悪く言われてるのをそいつらのために黙って我慢なんか出来ないよ」
母を責めたくはなかった。
だから玲奈は、我慢できない不満をココアが揺らぐマグカップへ向けて吐き出した。
攻撃的な感情を孕んだ言葉を受け、甘ったるい蒸気が迎え撃ってくる。
疲れた頭と心を癒すためにココアで糖分を摂って温まろうとしていたはずなのに、酷い吐き気がした。
「お父さんはこの家の人よ。私たちの家族よ。ジェシカとどれだけ愛し合ってたか知らないけど、何十年前の話? 今は赤の他人じゃない。向こうに家族面されて、お父さんを奪われて、その上お父さんが悪く言われてるのをそいつらのために黙って我慢なんか出来ないよ」


