【完結】遺族の強い希望により

喪う痛みを、みのりは知っている。
その傷口を抉るように心無い中傷が伴えば尚更。

今玲奈がギリギリのところに立っていることを、みのりは良く理解しているつもりだった。

だからこそ、不謹慎であろうと気が乗らなかろうと、無理やりにでも笑いが必要だ。
水分も栄養も――心にも、身体にも必要だ。

何故なら彼女は生きているのだから。
故人と一緒に死んだわけではないのだから。


「ほら、これ」

と、鞄を漁り、来る途中で買ってきたものを取り出す。
出てきた紙袋を見ると、玲奈はくしゃりと顔を崩した。


――そう、その調子。


思いきり泣けた後だ。
次は笑わなければならない。
話はその後で構わない。
まずは空っぽになった心と身体に、補給が必要だ。