【完結】遺族の強い希望により

――なんなの、さっきから。

みのりは混乱していた。

母が突然客用の茶の淹れ方など教えて来たのは亮と父との話の邪魔をさせないためと思い込んでいたが、亮が母に礼を言ったり、今の父からの言葉も、どこか腑に落ちない。
それらが重なると、何か見えない糸で繋がっているような気がした。

分かっていないのは自分だけのような気がして不安だったが、タイミングも空気もとても尋ねられるものではない。

釈然としないまま、自分の手元にあった茶を口にした。
普段とは違う、高級な味がした。
美味しい、とは思ったが、舌に慣れない味のせいかそれとも単にこの場の緊張感のせいか、居心地は良くない。


「さあ」と、仕切り直しのタイミングを図っていたかのように母が切り出す。

「お話の続きがあるんでしょう?」

喉が急速に水分を欲して、みのりはもうひと口茶を含んだ。
なるほど父が言った通り、普段通りの茶の方が自分も好きだ、と思いながら。