目を閉じたままひと口含み、ゆっくりと味わってから飲み下して、亮は静かに椀を置いた。
彼が目を開けるまでに妙な沈黙が流れ、みのりはその間に緊張を覚えた。
亮の瞼がゆっくりと持ち上がり、みのりへ向け微かに微笑んだと思ったら、彼は何故か母へ向けて頭を下げる。
「――ありがとうございます」
父は苛立ったままだし、母は何も返さない。
みのりには、亮が一体何についての礼を言ったのか全く分からなかった。
「あなたもどうぞ。みのりも」
と、亮の言葉は完全に無視したまま、母が茶を勧める。
母の許しが出るのを待っていたかのように父はすぐさま茶碗を取りあげ、一気に飲み干したと思ったら乱暴に茶托に戻した。
一瞬跳ね上がった茶托ごとテーブルに抑えつけるような置き方で、大きな音が鳴った。
「熱い」
と、不機嫌なひと言――猫舌なのだ。
それなのに一気に飲むから、と文句を言い返したくなるのを、みのりはぐっと堪えた。
彼が目を開けるまでに妙な沈黙が流れ、みのりはその間に緊張を覚えた。
亮の瞼がゆっくりと持ち上がり、みのりへ向け微かに微笑んだと思ったら、彼は何故か母へ向けて頭を下げる。
「――ありがとうございます」
父は苛立ったままだし、母は何も返さない。
みのりには、亮が一体何についての礼を言ったのか全く分からなかった。
「あなたもどうぞ。みのりも」
と、亮の言葉は完全に無視したまま、母が茶を勧める。
母の許しが出るのを待っていたかのように父はすぐさま茶碗を取りあげ、一気に飲み干したと思ったら乱暴に茶托に戻した。
一瞬跳ね上がった茶托ごとテーブルに抑えつけるような置き方で、大きな音が鳴った。
「熱い」
と、不機嫌なひと言――猫舌なのだ。
それなのに一気に飲むから、と文句を言い返したくなるのを、みのりはぐっと堪えた。


