「片付けをするつもりがないなら座りなさい、みのり。お客様はそちらへ――お父さんの正面へ」
亮は高校の頃、何度か家に訪ねて来ている。
その頃母は『亮くん』と呼んで気に入っていたようなのに、今日はずっと『お客様』と言うのがやけに耳に付いた。
母は父の隣に、既に腰を下ろしている。
「失礼します」
と、亮の方が先に動き指定された席に着く。
みのりもそれに従って、両親と向き合って座った。
「お茶をどうぞ」
「お気遣い――」
「飲んでください、娘が淹れたお茶ですから」
母は亮に、『お気遣いなく』と最後まで言わせなかった。
強調された『娘』の部分に反応したのか、亮はぴんと姿勢を正して椅子に座り直す。
「いただきます」
碗に手を伸ばした亮は、母ではなくみのりに向けてそう言ってから茶を啜った。
亮は高校の頃、何度か家に訪ねて来ている。
その頃母は『亮くん』と呼んで気に入っていたようなのに、今日はずっと『お客様』と言うのがやけに耳に付いた。
母は父の隣に、既に腰を下ろしている。
「失礼します」
と、亮の方が先に動き指定された席に着く。
みのりもそれに従って、両親と向き合って座った。
「お茶をどうぞ」
「お気遣い――」
「飲んでください、娘が淹れたお茶ですから」
母は亮に、『お気遣いなく』と最後まで言わせなかった。
強調された『娘』の部分に反応したのか、亮はぴんと姿勢を正して椅子に座り直す。
「いただきます」
碗に手を伸ばした亮は、母ではなくみのりに向けてそう言ってから茶を啜った。


