【完結】遺族の強い希望により

みのりの母はダイニングテーブルかこたつかを、「どちらにします?」と父に伺い立てた。
父が顎でしゃくったのはテーブルの方だ。


「お話は終わりましたか」

言いながら、まだ誰も席に着いていないテーブルに母が茶を並べていく。
乱れていた椅子の向きを直し、最初に座ったのは父だった。

「まだ、今まで顔を出さなかった理由だけだ」


亮に駆け寄っていたみのりの耳にも、その声は当然届いた。
つまり今の一発は、それに対する一発なのだ。
まだまだ続きそうな予感のするその言葉に、ぞくりと鳥肌が立った。


「亮……」

覗きこむと、顎の片側は少し腫れているように見えた。

顎骨がずれでもしたのか亮はしきりに耳の辺りを触って確認していたが、みのりの視線に気が付くと目を細めて笑った。
また彼は、『大丈夫』と目配せを送ってくる。
顎周りは少しずつ変色していっているようで、全然大丈夫そうには見えないのに。