【完結】遺族の強い希望により

「お母さん……」

「黙って、ちゃんと覚えなさい」


亮と分断されて、母から何か話でもあるのかと思ったのだ。
だが母は淡々と茶の淹れ方を教えるだけだった。
茶を淹れる人数に対する茶葉の量など、何故今教えるのか。
今必要なこととは思えなかった。

湯が沸くと碗に注ぐ。
器を先に温める分、と聞かされて、ヤカンに大量の湯を沸かしたのは別に嫌がらせでもなかったことは分かった。
茶葉を入れた急須にも湯を注ぎ、蒸らす。

じりじりした。
早く亮の隣へ戻りたいのに、時間がかかりすぎる。

椀を温めていた湯を捨てる。
茶の濃さが均一になるよう、少しずつ順番に注ぐことくらいはみのりも元々知っていた。
じれったい作業だが、これで終わりのはず、と急須を持ち上げたその時、


「立て」


今までは聞こえなかったリビングの話し声が、不意に届いた。