【完結】遺族の強い希望により

これから亮は父と向かい合って自分たちの話をしようとしているのに、何故そこに立ち合わせてくれないのか。

お茶など淹れたところで到底飲めるような雰囲気ではない。
母が彼に茶を出すような気になれないのだとしても、それを自分にやらせる意味などあるのか。


フローリングに膝をつきかけたまま固まったみのりに、隣から小さく「みのり」と諭すような声がかかった。
亮だ。

『大丈夫だから、言われた通りにして』

彼は無言で小さく頷いただけだったが、みのりにはその声が届いた。

彼には母の指示の意図が分かっているのだろうか、それとも逆らって余計な波風を立てないで欲しいだけか。
或いは。


「……はい」

――男同士……女同士……?


一時だけ、遠ざけたいのかもしれない。
そう思ったみのりは、静かに立ち上がった。