【完結】遺族の強い希望により

みのりの家のLDKには4人掛けのダイニングテーブルと別にローテーブルがあり、冬の間はそのローテーブルがこたつに変わる。
父はダイニングテーブルの椅子に掛けていたが、その椅子はテーブル側ではなくこたつに向いていた。


「そこに座れ」

リビングへ足を踏み入れた瞬間に父が指したのは、ダイニングテーブルでもこたつでもない。
その真ん中の、フローリング剥き出しの空間だった。

亮はスリッパを脱ぎ、言われた通りに冷たい床に正座をする。
椅子の上からは父がそれを冷たく見下ろしていた。


みのりが亮に倣って隣に座ろうとすると、キッチンにいた母から止められた。

「あんたはこっちよ、みのり」

「なんで!?」

「お客様にお茶をお出ししなさい」

ぴしゃりとそう言い付けられて、意図が汲み取れずに顔をしかめた。