「上がってもらいなさい、みのり。お父さん、話は中で」
母は落ち着いた声で喋っていた。
膝をつき、客用のスリッパを出して並べている。
けれど一度も、みのりのことも亮のことも見ようとはしなかった。
父は忌々しそうに顔をしかめたが、言われた通り大人しく亮の胸倉から手を放した。
中へ戻っていく途中、亮のために並べられたばかりのスリッパを片方踏んで行ったのはわざとなのか確かめようがない。
諌めるように母がその背中を叩きながら、2人はみのり達を待たずに奥へ消えていく。
張りつめた気持ちは少しも緩まぬまま、みのりは亮を見上げた。
こんな時なのに彼は微笑んだ。
その目が『大丈夫』と言っている。
なんの根拠もないのに、それだけで安心出来た。
母は落ち着いた声で喋っていた。
膝をつき、客用のスリッパを出して並べている。
けれど一度も、みのりのことも亮のことも見ようとはしなかった。
父は忌々しそうに顔をしかめたが、言われた通り大人しく亮の胸倉から手を放した。
中へ戻っていく途中、亮のために並べられたばかりのスリッパを片方踏んで行ったのはわざとなのか確かめようがない。
諌めるように母がその背中を叩きながら、2人はみのり達を待たずに奥へ消えていく。
張りつめた気持ちは少しも緩まぬまま、みのりは亮を見上げた。
こんな時なのに彼は微笑んだ。
その目が『大丈夫』と言っている。
なんの根拠もないのに、それだけで安心出来た。


