【完結】遺族の強い希望により

ドアが開く前から、のしのしと床を軋ませる音が外まで聞こえた。
それが父の足音だとみのりには分かった。
まだ話も何もする前から父は怒っている、明らかに。

両親が中で何か短く言い合う気配がした。
それからすぐにドアが開いた。
開けたのは父親の方だった。


「何しに来た」

開口一番がそれだった。
普段は口数も少なく大人しい部類の父が、今は顔を真っ赤にして怒りを露にしている。
充血した目が赤く光り、亮を睨みつけた。


父は全て知っていたのだ、と、漸くこの時になってみのりは確信した。
妊娠のことも流産のことも、そしてその相手のことも全て。

まずは何とか落ち着かせたくて父に声をかけようとしたみのりを、亮は片手を出して遮った。