【完結】遺族の強い希望により

未だ尻込みするみのりの手を取り直して、亮は真っ直ぐに共用廊下を進んだ。
迷いのない足取りだった。

「なあ、女の子だった?」

廊下に響かない、囁く程度の声でその質問は発せられた。
一瞬みのりは何故今そんなことを聞いてくるのか戸惑ったが、性別は分からぬまま終わったことを告げた。

「もし娘だったら」

もう、みのりの家のドアの目の前だった。
彼の声はさらに小さくなる。

それでも聞こえてしまった言葉を、冗談なのか聞き間違いなのかと確認する間もなかった。


亮がチャイムを押す指は、もう震えてはいなかった。
その指先をじっと見つめたまま、みのりは最後に亮が呟いた言葉を頭の中で反芻する。


――きっと相手の男、殺したくなるんだろうな――