【完結】遺族の強い希望により

カメラが付いている。
こちらの様子が、向こうには見えているはずだった。
母は何も言わず、数瞬の沈黙の後、繋がった時よりも乱暴なガチャンという音と共に通信は途絶えた。

代わりに、音も立てずに自動ドアが開いた。


不気味に開かれた道を、戸惑ったままみのりは見つめた。
一体彼はどういうつもりなのか。

探るように、恐る恐る亮の顔を見上げた。

「ごめん、勝手に。でも……もう、2人だけの問題じゃないだろ」

「まさか。上まで行くつもりなの?」

固い意思のこもった目で、自動ドアの先を見つめたまま亮は頷いた。
繋いだままの彼の手に力がこもった。
微かに震えていた。


「だって……だって、母は知ってるのよ」

「分かってる。怒ってるだろうな」

「だったら!」


問答している内に、自動ドアは閉まりかかる。
その催促に導かれたように、彼は前へ踏み出した。
閉じかけた扉は反応し、再び道を開く。