【完結】遺族の強い希望により

「何してんの、みのり」

「え……あ、亮!?」

1段目から動けずにいたみのりを、いつの間にか亮が追い越した。
送ってもらった別れ際に、彼がこの階段を上がることなど一度もなかったのに。


みのりが慌てて後に続くと、亮は止める間もなくそのままオートロックのパネルの前に立ち、何の躊躇もなく彼女の家の部屋番号を押した。

「りょ、亮? 鍵なら持って――」

「お願い、ちょっと黙ってて」

制するつもりが、有無を言わさず制されたのはみのりの方だった。

すぐにがちゃがちゃとした雑音の後にインターフォンが繋がり、「はい?」と訝しげな声が応じてくる。
母だ。


「夜分に申し訳ありません。廣岡です、ご無沙汰しています。みのりさんを送ってきました」