【完結】遺族の強い希望により

本当ならそこに彼と自分の子がいて、彼と一緒に、命を授かった喜びを共有できたはずなのだ。
彼からその喜びを奪ったのは自分なのだと改めて痛感しながら、ひと筋の涙が頬を伝った。

後悔と罪の意識と歓びが混じり合った美しい一滴が弧を描いて、ゆっくりと顎から落ちていった。


「まだ泣けるの? お前」

呆れた様な口調だったが、亮も思う所があるのか、複雑そうな笑いを浮かべていた。

「ううん……ごめんね」

「やめろ、もう謝るな。みのりは悪くなかったって言ったろ? じゃないと……」

じゃないと。
その続きを、彼は口にしなかった。

少し乱暴に小突くように頭を撫でられて、ぶっきら棒に顔を逸らされたがみのりには分かった。

――亮だって、本当は今でも自分を責めてる。


試すためとは言え、一方的に別れたこと。
生活圏が離れて、その間ずっと連絡を取り合わなかったこと。
そのせいで、妊娠の事実を知らずにいたこと。

それでもみのりの心を救うために『どっちも悪くない』と言ってくれた彼のためにも、自分もいつまでも『ごめん』と繰り返してはいけないのだと。