そしてジェシカが重い口を開いた時、すぐに後悔した。
当たり障りのないどころではなさそうだった。

「――目を覚ますと、すぐに死のうとするので……」


彼女はすぐに口を閉ざし、再び沈黙が訪れた。
肩を震わせているのは、涙を堪えているためかもしれない。
泣きたいのはこっちの方だ、と、美和子はあからさまな溜め息を吐いて静寂を破った。

「順を追って全て話してください。そのためにあなたを呼びました。あなたには話す義務が……、私には、聞く義務があります」


美和子とて、好きでこうしているわけではない。
話す覚悟がないならさっさと消えて貰いたかったが、出て行けと叫ばなかったのは隆司の妻としてのプライドだ。

精神が疲弊しきっているのはどうやら向こうも同じようだが、憐れむ気持ちは微塵も起こらなかった。