2人が陣取っていた噴水正面のベンチ裏に、隠れるようにひっそりと黒いポールが立っている。
零れ落ちそうな涙を堪えて上を見上げた時、みのりはその先端に時計が付いていることに気が付いた。
時間を忘れてライトアップされた噴水に見惚れていた去年は存在にすら気付かなかったが、その時計はずっとそこでひっそりと時を刻んできたに違いなかった。
時間は流れている、みのりが立ち止まっている間にもずっと。
――進まなければ、前に。目を背けて逃げ隠れしてるだけじゃ、背負ったことにはならない……。
亮にはっきりと決別を告げた。
それはみのりにとって再出発の一歩だ。
赤ん坊は自分のせいで死んでしまったけれど、自分は生きている。
生きているのだから、いつまでも引きこもってなどいないできちんとしなくては。
それが遺された者の果たすべき責任であり、罪を犯した者の――受けるべき罰だ。
この先ずっと1人で重荷を抱えたまま、周囲に溶け込み同化して生きていくことが。
零れ落ちそうな涙を堪えて上を見上げた時、みのりはその先端に時計が付いていることに気が付いた。
時間を忘れてライトアップされた噴水に見惚れていた去年は存在にすら気付かなかったが、その時計はずっとそこでひっそりと時を刻んできたに違いなかった。
時間は流れている、みのりが立ち止まっている間にもずっと。
――進まなければ、前に。目を背けて逃げ隠れしてるだけじゃ、背負ったことにはならない……。
亮にはっきりと決別を告げた。
それはみのりにとって再出発の一歩だ。
赤ん坊は自分のせいで死んでしまったけれど、自分は生きている。
生きているのだから、いつまでも引きこもってなどいないできちんとしなくては。
それが遺された者の果たすべき責任であり、罪を犯した者の――受けるべき罰だ。
この先ずっと1人で重荷を抱えたまま、周囲に溶け込み同化して生きていくことが。


