【完結】遺族の強い希望により

何かが壊れた。
それが自分の罪に対する罰だというのなら、甘んじて受け入れよう。
下唇を噛むと、渇いたそれは歯の裏に張り付いたようだった。
どこまでも恰好が付かない。
でもそれで良い、醜い思い出ほどすぐに捨て去りたくなるだろうから。


「適当にお友達ごっこして、綺麗な思い出のままにしてあげようと思ったのに……残念ね。亮がおかしなこと言うからよ」


打ちのめされたように黙り込んだ亮を、このまま置き去りにすればいい。
彼はしばらくは苦しむだろうが、やがてそれは過去になる。
彼には来るべき新しい未来がある。

何も言わずに立ち上がったみのりの手には、まだ亮の手が絡みついていた。
だが振り払うまでもなく、するりと抜けたそれは力なく下に落ちた。
これで終わりだ、本当に。


――さよなら。