「みのり……やり直そう」
吐き出して少しは落ち着いたのか、亮の声は静かだった。
言葉は『やり直したい』という希望でも『やり直さないか』という問いかけでもない。
亮が決め、みのりが従う。
2人が築いてきた関係に相応しい言葉だ。
にも拘らず、彼は酷く脅えた顔をしていた。
みのりの震えがもう止まっていることを確認すると、亮はきつく締めつけていた腕を緩めた。
みのりにその気が無ければ逃げて良いのだと、決定を、初めて委ねられたような気がした。
『大丈夫、ちゃんと連れてくから』――いつだってそうやって自信満々だったはずの亮の目が、初めて不安で揺れている。
――初めて? 違う……。
見たことがあった。
いつだ、と考えを巡らせると、すぐに思い当たった。
『今日でもう終わりにしよう』
あの日新幹線のホームで別れの言葉を紡いだ時にも、彼は今と同じ目をしていた。
吐き出して少しは落ち着いたのか、亮の声は静かだった。
言葉は『やり直したい』という希望でも『やり直さないか』という問いかけでもない。
亮が決め、みのりが従う。
2人が築いてきた関係に相応しい言葉だ。
にも拘らず、彼は酷く脅えた顔をしていた。
みのりの震えがもう止まっていることを確認すると、亮はきつく締めつけていた腕を緩めた。
みのりにその気が無ければ逃げて良いのだと、決定を、初めて委ねられたような気がした。
『大丈夫、ちゃんと連れてくから』――いつだってそうやって自信満々だったはずの亮の目が、初めて不安で揺れている。
――初めて? 違う……。
見たことがあった。
いつだ、と考えを巡らせると、すぐに思い当たった。
『今日でもう終わりにしよう』
あの日新幹線のホームで別れの言葉を紡いだ時にも、彼は今と同じ目をしていた。


