【完結】遺族の強い希望により

「……馬鹿、破裂すんぞ」

力んでいたみのりの手元に気付いたのか、亮はそう言って淋しそうに笑った。
躊躇いながらも伸びて来た手が、ぽんと優しく頭に乗せられる。

「約束、してたろ。また見たかったんだ……みのりと一緒に」

「――ッ」


間にあったはずの人1人分の距離が、いつのまにか半分に縮まっていた。

心が悲鳴をあげている。
亮は優しかった。
聞かされた気持ちは嬉しかった。

甘い痛みはただただ苦しくて、切ない。
それなのに、声も涙も出なかった。
身体の内側から軋んでバラバラになっていく。


「――ごめんな、みのり。辛い思いさせたな」

ああ、話が始まるのだ、と、みのりは理解した。
どれを指してごめんと言っているのだろう。
辛かったのは確かだ、だが、怒っているわけではないのに。