【完結】遺族の強い希望により

――これで良かった、のかも。

今、亮と2人で、希望の光など見るべきではない。
水の止まった噴水が、もう戻れないのだと念を押しているようだった。


「景気のせいか? それともやっぱ知名度の問題か……」

ぶつぶつと悔しそうに言うと、大きなため息を吐きながら亮は噴水正面のベンチに身体を投げ出す。


「なくなっちゃうくらいなら、拡散しとけば良かったね?」

「そういう問題じゃ――、」

言いかけた言葉を途中で飲み込んで、亮は小さく首を横に振った。
彼が口の中で何か呟いたのが、はっきりとは分からないが「いんだよ」と聞こえた。

『良いんだよ誰にも言わなくて』――そう言ったような気がしたが、ライトアップがなかったのが余程残念だったのか、俯いて肩を落としている亮の表情はよく見ることが出来なかった。