【完結】遺族の強い希望により

戻れないことは分かっているし、そうするつもりもない。
けれど、否、だからみのりは、今この時がずっと続いて欲しいと願った。


どこへ向かうつもりなのか、亮は目的地を告げずに進む。
険しい顔をしてみのりの方を見ようともしないが、手だけはしっかりと繋がれたままだった。

賑やかな駅前からは遠ざかり、比較的色んな店が並ぶ大通りからも離れて、車通りのない住宅街を縫うように細い道を進んで行く。
こっちに行っても店は何もないのに、と考えてから、何も話をするためにわざわざ店に入る必要はないのだと漸く気が付いた。
外でも良いし、歩きながらだって話は出来る。
むしろその方が人目にはつかずに済む。

静かな道だった。
歩きながらだったら、今話が始まってもおかしくない。
みのりの手に力がこもったのは無意識で、自分では気付きもしなかった。