【完結】遺族の強い希望により

終わりへと向かう一歩を、亮が踏み出す。
あの頃と同じように手が引かれ、みのりは彼に追従した。

謝罪をしたいという話の内容もそれを話す場所も彼に委ねた今、みのりにはもう、その瞬間を引き延ばすことは出来ない。
なるべくゆっくり歩いて欲しかった。

そして、出来ればそれが始まる瞬間までは、他愛のない会話を楽しみたい。
あの頃ではなく、今だから出来る話を――例えば大学に入ってからの彼の生活などを聞かせて欲しかった。


手を繋いだまま無言で歩くのは、あの頃を思い出し過ぎて怖かった。
戻れない時間を意識が遡ろうとする、根底にある自分の気持ちを許すわけにいかなかった。
もしも亮が今でも自分と同じ気持ちを持っていてくれたとしても、それを受け入れるわけにはいかなかった。

――傷も罪も過ちも、何一つ消えない。私たちはもう、取り返しのつかないものをなくしてしまった。