【完結】遺族の強い希望により

「行先、俺が決めていいの?」

「任せるってば」

慎重に念を押してくるのが可笑しくて、もう一度小さく笑うことが出来た。
それをきっかけに、みのりが行き場を無くしていた手をポケットにしまおうとした時だ。


――あ。


再び手が触れた、今度は亮の方から。
軽く包むように触れて来たその手が、このまま力を込めて良いものかどうか迷っているようだった。
探る様な目で切なげに見つめてくる亮の視線が、みのりの胸を締め付けた。


触れあった手は自然に繋がれ、これからの行先を決めるのはいつも亮で、ぐいっと引っ張られるのが歩き出す合図だ。
付き合っている間、ずっとそうだった。
もう終わったことだ。

事情が事情で再会に至ったが、今から彼が何らかの謝罪をし、それをみのりが許すという形式的な段階を踏むのは謂わば2人のけじめのようなものだった。
それが終わり亮の中のしこりが消えれば、あとはもう、本当に全てなかったことに――或いは過去の綺麗な思い出にするしかない。