ここに来て母はまた、自分の口から全てを話すのを躊躇っているようだった。
或いは未だに、その真実とやらを受け入れられずにいるのかもしれない。

ジェシカは全て自分が悪いと言ったらしい。
自分が、というのは、父ではなく、という意味だろうか。
父は家族を裏切っていないと、母自身も再三言っていたではないか。
にも拘らず受け入れきれないような真実とは、一体何なのか。


母は中々話を再開する気になれない様子だった。
ジェシカの日記にヒントがあると言うのならば、自分の目で探せばいいのだ。

――そうだ、自分の目で見て納得しろ。お母さんは、確かにそう言っていたわ。


思い立つと玲奈はすぐに自室へ上がり、ジェシカの日記とあの最後の手紙を持って母のいるリビングへと戻った。