【完結】遺族の強い希望により

「単刀直入に聞くけど」

亮の呼びかけで、みのりはゆるりと現実に引き戻された。

幸せだった頃、良く2人で利用したイタリアンのチェーン店だ。
あの頃、今の様な未来を想像したことはなかった。


「お前、俺の……俺たちの子どもを妊娠したのか」


――ああ、もう誤魔化しようがない。この人は全部分かってて聞いているんだ。


瞑目したまま、みのりはその質問を静かに受け止めた。
決定的な質問をされたら全て話してしまいそうだ――そう恐れていたことが、現実になった瞬間だった。


「――十月十日だよ」

「え……?」

「受精から出産まで。正確には266日って言われてる。さっき亮は1年くらいって言ってたけど、実際には10ヶ月弱ね」

亮の目がしきりに動き回っている。
みのりが何を言わんとしているのか、必死で頭を巡らせているようだった。