気分は全く乗らなかったが、その時だけは誘いに乗って、新入生歓迎会が始まるまでの時間を2人で過ごした。
なんてことはない、ただ大学の最寄駅近くのファストフード店でお茶を飲んで時間を潰しただけである。

短い時間だったが、成瀬はそれなりにみのりを楽しませてくれた。
だがそれだけだ。

やはり、相手の好意に気付きながら曖昧な態度を取るのは良くない――そう思ったみのりは、次からは2人きりの誘いははっきりと断ろうと決めていた。


自然と相手に惹かれていくのなら良い。
だが、成瀬の気持ちに甘えて利用するようなことはしたくなかった。
自分がすぐに亮以外の誰かを好きになれるようには、みのりはとても思えなかった。