【完結】遺族の強い希望により

「みのり?」

呼ばれ、ハッとした。
亮が戻ってきてテーブルのすぐ脇に立ったことに、声がかかるまで気付かなかった。

「何そんなに慌ててんだよ……ちゃんと良く噛め、詰らせるぞ」

何か面白いものでも見たかのように、亮は笑っていた。

急いだだけあってみのりの皿は完食に近づいていたが、亮の言葉で我に返ると同時に、ほとんど噛まずに飲み込んだものが食道につかえているような気になって彼女は小さく咳き込んだ。

「馬鹿だなお前、ガキか」

亮は機嫌良さそうに笑っていた。
早く帰りたがっている、というのは、思い過ごしだったのだろうか。

飲めよ、と、コトリとテーブルにアイスコーヒーのグラスが、続いてストローが置かれた。
最後にそっと添えられたものを見て、みのりは目を大きく見開いた。

ミルクのポーションがふたつ。