1時間目の授業が終わって、休み時間。
「未歩、次移動教室ーっ。一緒に行こー!」
私が未歩に呼びかけた。
「え、ホントに!?忘れてたぁ!待って待ってー!」
未歩は次が移動教室だということをすっかり忘れていたみたいで、慌てて準備をしだした。
「あわてなくても大丈夫だよ~!まだ時間あるし。」
私がそう言ったとき。
「柚希、未歩!あたしも一緒に行っていい?」
香織が私たちのところに来た。
私と未歩は、「行こう行こう!」と、もうはじめから一緒に行動していたかのように答えた。
そういえば、香織は他の女子と一緒には行かないのかな?
周りを見渡すと、まだ人はたくさんいる。
もちろん女子も。
だけど、もうグループはできているみたいだった。
「ああ。グループ、もうできてるみたいでさ、入りにくいんだよねぇ。3人も4人もくっついてちゃね。いろいろ話しに行ってみたんだけどさ、どうもうまく入れないの。」
私の考えていることを悟ったかのように、香織はそう言いだした。
「そ、そうなんだ。」
少し焦った私は、うまく返す言葉がなかった。
「それにあたし、人に嫌われる性格だからさ?あることないこと噂広められたりとかして、なかなかと仲良くしてくれる人いないんだ。笑っちゃうでしょ!」
……え?
香織は笑ってそう言った。
だけど、聞いている側からすると笑えない。
一緒に聞いていた未歩も、私と同じような驚きとどういう言葉をかけたらいいのかわからないような反応で、2人とも黙ってしまった。

