「ゆずきー、ごはんよー!」
お母さんの声で目が覚めた。
一階から呼ぶお母さんの声が、静かな私の部屋にはすぐに届いた。
あ、寝ちゃってたのか。
おなか……そんなすいてないな。
制服のまま寝ていたことに気づき、部屋着に着替えてからリビングへと向かった。
リビングのドアを開けると、お父さんも帰っていた。
「寝てたの?帰ってきてすぐに部屋に行くし、疲れてた?」
お母さんは私のいつもと違う行動に気づいたのか、少し不思議そうに聞いてきた。
「あ、うん。寝てた。」
私はそれだけ言っていつも自分が座っている席についた。
「体調悪いの?」
お母さんはお茶入れながら私に聞く。
「だいじょうぶ、なんか眠いだけ。」
「……そう。」
入れたお茶を机に置いて、私の隣に座るお母さん。
そして前に座っているお父さんが、「元気ないな」と言ってきた。
「寝起きだからだよ」と軽く笑みを作りそう言葉を返す。
やっぱ、親ってすぐ気づくんだな。
いつもの私を見てるからかな。
少しの変化も見逃さない。
それはすごくいいこと。
とてもうれしいことだけど、今の私にとっては都合が悪い。
だって……いじめられていることがバレたら、また事が大きくなる。
それに心配かけちゃいけないし……言えない。
楽しく学校に行けてるという感じでふるまえば、2人も安心する。
変に心配かけちゃいけない。
言ったところで解決なんてしない。
だから、私が黙っていればいいだけのこと……。

