市山たちはお腹を抱えて笑っていた。
もうやめて……。
近寄らないで。
かまわないでよ……!
昼休み。
食欲ないな……。
図書室でも行って本でも読も……
「ちょっと」
席を立って教室を出ていこうとした時、そう言って香織に道をふさがれた。
「香織……な、なに。」
「どこ行くの?」
「ど、どこでもいいでしょ……。」
香織が話してくるなんて久しぶりに思えた。
ずっと未歩が嫌がらせしてきてたから……。
でも、なにか企んでるにちがいない。
「ふん、生意気。ねぇちょっと頼まれてよ」
「……い、いや。」
私は怪しいのを察知し話を聞く前に断った。
「は?なによ、偉そうに。逆らうんじゃないわよ!」
どうして……?
私の意見は無視なの?
私の意見はどうなるの?
嫌なことは「嫌だ」って、言ってはいけないの?
従うことしか許されないの?
「……。」
「はぁ。ジュース買ってきて、今すぐ。」
「……え。」
「ちゃっちゃと行きなさいよ!のろま!」
「……ぅ……ん……。」
もう何も言えない。
言うことができない。
私の存在価値なんて……もうどこにもない。

