「え……」


「だいっきらい、あんたみたいないい子ちゃんぶるようなやつ。誰にでもにこにこして、自分の感情をぶつけない。本気で友達だとかそんなこと言うの、バカバカしいんだよ!友達友達って、あんた「本当の友達」がいないと何にもできないの?ウザいんだよ!!」


 みほ……


「私はあんたのこと、これっぽっちも「友達」なんて思ったことない。友達なんかじゃない!!」


未歩の瞳は、闇のように暗かった。


見たことがない、未歩だった。


「柚希ぃ、1年間損してたんだよ?私に利用されてたことに全く気づかなかったなんてかわいそう。ずーっと、無駄な時間だったね。」


 むだな……じかん?


「でも、柚希が悪いんだよ?はじめからちゃんと気づいておけば、自分で避けるなりできたはずなんだしさ?気づかないあんたが悪いの。気づかないあんたがバカなのよ!!」


 わたしが……わるい?


「人生自分のために生きたもん勝ちなんだよ。自分の時間を無駄にする必要なんてないの。ここを使わないとね。」


未歩は自分の頭に人差し指をさしてそう言う。


 自分のため……。


「ふふっあはは!まぁ心配しないでよ。あんたの学校生活、私を暇つぶしさしてくれたお礼に、次はあんたを毎日暇のないようにしてあげるから!」


 ……?


「私があんたを楽しませてあげる……常にね。」


未歩は私の耳元でそうささやいて、屋上から去っていった。


私の胸は、ざわついていた。