「なんか、1年の時見たことある!名前、なんていうの?」
見た目は気が強そうな感じの子だ。
「私、内宮柚希!あなたは?」
「うちみや……ゆずきね!あたしは笹田香織。これから1年間、よろしく!!」
ささだかおり。
話してみると、結構話しやすい子だなぁ。
「ね!あたしのことは"かおり"って呼んで!"ゆずき"って…呼んでい?」
「うん!わかったっ。いいよ!」
話してみるとよく笑う子で、短時間でもどんどん話が盛り上がってきて楽しい子だった。
クラスに入る前にこんなに話せる友達ができるなんて、このクラスでもうまくやっていけそう……!
みんなと仲良くできたらいいな。
この日は笑顔がたえなかった。
「柚希って、話してみるとすっごいおもしろいね!あたし柚希のこと気に入っちゃった!改めてよろしくっ!」
うれしかった。
「クラス、うまくやってけそうでよかった!香織みたいな話しやすい子がいたら、みんな盛り上がれるね!こちらこそ、よろしく!」
握手を交わして、お互い笑顔を向け合った。
成立したと思っていた。
「もううまくやっていける」って、
「出遅れなかった」って、
もう……「友達だ」って、思っていた。
未歩以外にもクラスで話せる子ができた、もう安心なんだって、思っていた。
ううん思い込んでいた。
でもこれが……すべての「はじまり」だった。

