家に帰るといつものようにリビングからテレビの音がしているだけで、特に騒がしくもなく、誰か来ている気配もなかった。


「おかあさーん?みんな来てないの~?」


私は玄関で座って靴を脱ぎながらリビングにいるお母さんに向かって声をかけた。


「あらおかえり。それがねぇ、なんか里美ちゃんが風邪ひいちゃったみたいで来れないんだって。」


「えーそうなの!?今日来れないんだったら、次いつ来れるんだろう……。」


「さぁねぇ。さっき電話がかかってきたところなのよ。私もせっかく片づけたりしたんだけど。また今度になるわねぇ。」


「楽しみにしてたのにな……。」


「しょうがないわよ。」


「うんー……。」


里美とは、私のいとこのこと。


今日来るはずだったいとこは、その里美ちゃんの家族。


他には、里美ちゃんの妹と弟、そしてお兄ちゃんがいる。


そして、里美ちゃんのお父さんとお母さん。


全員合わせて里美ちゃんの家族は6人家族だ。


私は一人っ子で、お父さんとお母さんで3人家族。


そんなキョウダイのいない私には、いとこたちが来るのがとても楽しみだった。


家がにぎやかになるのはすごく嬉しい。


なかなか来れないいとこたちといっぱい話せたり、ゲームしたりごはん食べたりするの、大好きだもん。


それに、うちにいとこが来たときはいつもみんな泊まっていく。


いとこの家が少し遠いところにあるから。


だから、次の日がお父さんが休みの時や、みんな用事がない時じゃないと来れないのだ。


明日はちょうどいとこのお父さんが休みで、みんな予定がなかったから今日来れるはずだった。


 来れないなんて、急すぎてショック……。


 でも、しょうがないよね。


 みんな元気な姿で来てほしいもん。


 次は、みんな来れたらいいな。


 あ、そういえば、今日未歩がひとりなんだった!


 予定もなくなったし、未歩にメールしてみよう。


自分の部屋に行って、鞄からスマホを取り出し、その鞄を床に置いた。