そしてアイちゃんは、私たちの前から走って去っていった。
心配そうな顔を一度だけ私に向けてから。
そんな心配そうな顔してくれるなんて……うれしい。
「なに今の子、誰?」
香織が未歩に聞く。
「さぁ?別にどーでもいい。」
未歩は興味がなさそうに香織に返した。
「ま、そーだねー。」
香織も納得する。
ドンッ!
「きゃあ!」
未歩は私の腕をはなすのと同時に、勢いよく突き飛ばしてきた。
「ぷっ、見てよこのだっさいこけ方!」
「ゴキブリみた~い(笑)」
「やだ、きたなぁ~い!」
未歩の言葉に続いて他の人たちも私のことを見て笑いながら暴言を吐く。
……どうして、そんなことが言えるの?
どうして笑ってるの?
何も面白くないじゃん!
私にとっては何も面白くない……。
何も笑えない。
何にも…………。
どうして……どうしてみんな笑えるの!?
アイちゃん……早くまた、会いたいよ。
アイちゃんといるとホッとするの。
アイちゃんといると、安心するんだよ。
だから……会いたいよ……。

