「あたしを置いてかないで……。」
未歩がついていけなさそうに、私たちに静かにそう言った。
「未歩ごめん~!」
香織が未歩の前で手を合わせて謝った。
「あたしだって励ましたかったのに。うまく励ませないんだもん……。」
未歩はしょぼんとした表情で顔を下に向ける。
「気持ちだけでじゅうぶんだよ~!未歩も、ありがとう!」
香織は、うれしそうに未歩にそう言う。
仲間が1人増えて、私はすごく嬉しかった。
これから、一緒に行動するのが香織も一緒で、よりにぎやかになって、笑いが絶えない毎日になるんだろうなと思ったら、なんだかワクワクしてくる。
キーンコーンカーンコーン
「あ、やばー!!チャイム鳴っちゃった!授業はじまる~!」
私はチャイムの音を聞き、未歩や香織よりも早くに反応した。
周りを見るともう誰一人教室にはいない。
私たちは急いで教室から飛び出して、次に授業する場所へと向かう。
廊下をバタバタと必死に走りながらも、私たちの表情には笑みがこぼれていた。
なんだか楽しかったから。
みんな一緒だと、なにもかも楽しく思えてきてしまう。
このあと先生に怒られてしまうんだろうな、と予想はつくけど、「みんなで謝ろっか」、なんて、のんきな話をしていた。