縄がほどかれ自由になった女の子は、私の目は見ずに「ありがとう」と言った。
女の子は、怯えたようにまた少し震えている。
私とは目を合わせようともせず、ただなにも言わずに無言で私の目の前に立っていた。
私も何も言えなかった。
だって、わかるから。
あの光景を見てしまったら、何があって、どうしてここにいるのか、想像がついてしまう。
女の子はすごく大人しそうな子で、見た感じ私より背が小さかった。
暗くてよく見えないから、詳しいところまではよくわからない。
「さっきの人たち……」
女の子が口を開いた。
「え、と。あ……見てた?」
いじめられてる……なんて、そう簡単に言えるものじゃないな。
「うん……笑い声が聞こえて……急にドアが開いたと思ったら、あなたが……ここに……」
女の子は、とても言いにくそうに慎重に言葉を選んで話す。
「うん。」
私は、一言だけ返して目をずっとそらしながら話す女の子の顔を見た。
きっと、この子も誰かにやられたんだ。
この子も、この暗くて狭いところで震えていたんだろうな。
鈍感な私でもわかる。
「あの……本当に……助けてくれて、ありがとう。」
すると、女の子はそう言ったとき初めて私の目を見た。

