「やだなぁもう、そんな悲しい顔しないでよ!てかごめんねこんな話して。あたし、こんなだから嫌われるのかも。そんな、気まずくさせるつもりはなかったんだけど……。昔からのことだから、慣れっこよ!」
香織は私たちにそう言った。
だけど、そんな傷ついた経験を聞いてしまったら、返す言葉がないにきまってる。
聞き上手で話し上手の人なら、きっと上手な励まし方ができるのかもしれない。
だけど、私はそのどちらでもない。
どちらも上手じゃない。
だから、もっと難しい。
こういう時って、どうしたらいいのだろうか。
もとはといえば、私が悟られてしまうような表情をしていて、香織が勘づいた。
他の女子との関係を気にしたことが香織に伝わった。
もとから慣れっこな香織は、きっと私のような表情によく出てしまう人と何回も出会ってきたのだろう。
それで、香織は私の気持ちの奥の奥まで悟ったんだ。
香織は、不安になったのかもしれない。
「そ、そんなこと、自分で言っちゃだめだよっ。まださ、私たち、仲良くなって間もないじゃん?これから、いっぱい話そうよ!私、香織のこともっと知りたい!」
私は、頭の中で言葉を探しながら自分の気持ちを伝えた。
「……。」
香織は黙ってしまって、まずいことを言ってしまったんじゃないかと冷や汗が出るほど焦っていた時だった。
「柚希!うれしいよ、ありがとう!」
そう言って、私に抱きついてきた香織。
よかった。傷つけるようなこと言ったのかと思った……。
私はホッとしたあと、抱きついてきた香織の肩をポンポン、と優しく叩いた。

