和菓子のはなや

そして紙袋を持ってレジの方へ行く。




花谷さんが会計をしている間に私は最中を入れる。




そしておばあちゃんは帰っていった。






…緊張した……。




はじめてのことだらけで少し戸惑ったけどうまくいってよかった。





花谷さんは丸いイスに座って腕を組んだまま私を見ていた。





「な、なんですか…??」




花谷さんってずっと表情変わらないからなに考えているのか分からない。




私が恐る恐る聞くと、




「名前なんだっけ?」







……………………ん?






名前…?今日お店に入って1番に言ったよね…………………??





私は一生懸命記憶を遡る。



うん。確かに言った。




まさかもう忘れたんですか??!!




「…桜庭由良と申します…」




まあ会って全然時間経ってないのに当然だよね……うん……





「桜庭ね。多分覚えたとおもう…」




そういいながら目の前のもなかの山に手を伸ばしてなんと食べはじめた。




「はっ…花谷さんそれ食べて大丈夫なんですか…??」





私は驚きを隠せずに聞いた。





「一個くらいバレない」





花谷さんはもなかをもしゃもしゃ頬張りながら親指をぐっと立てた。





…まあ私がとやかく言えないけど……




なんていうか、マイペースだなあ……





私はこの先うまくやっていけるのかほんの少しだけ不安になった。