放課後ーーー
職員室前で何度もため息をつく。頭下げまくって早く帰りたい。けど、入りにくいなぁ。




…あの時の私の考えは正しかった…
先生が保健室に行った後、取り巻きの1人が耳元で

『手助けありがとね…』

と囁かれた。これがあいつの作戦か。
しかしそこまでしてあの先生の気を引きたいかね〜



「ね、入らないの?」

「!!」



びっっっくりした!!!!
けやら振り向くといつの間にか篠座先生が笑みを浮かべて立っていた。ホント気味悪いなこの先生!

気持ちを落ち着かせ、冷静に答える。



「…いえ…これから入ろうと」

「君はー…確か2-Cの、夢月さん、だよね?先生に呼ばれて?」

「はい。東雲先生に放課後に職員室に来いと言われました」

「東雲先生が?」



細い目を少し見開き驚いた顔を見せる篠座先生。

え、と思った時にはいつもの笑顔に戻っていた。なんだったんだ?
てか、なんで私の名前知ってるんだ?怖くて聞けないけど…



「そう。東雲先生がね…待ってると思うから早く入りなさい。ね」

「は、はい」



なんで驚いたのかわからなかったけど、それよりも、今から怒られるイベントが待ってるからな。

実は嫌な予感がするから行きたくないのが本音です。






「………来たか…」

「来ました(嫌だったけど…)」

「俺が、聞きたいのは一つ。
…………あれはわざとやったのか…?」

「…は…?」



わざと…?
どういうこと…?



「文槻が…“夢月さんは私に恨みがある。だから強くパスした。何もしてないのに”…って…」



あの性悪…こんなめんどくさいことを…

さて…どうしよっかな…



「……すいません。文槻さん可愛いし、皆に人気で、チームに入れてくれたのはバカにしてるからだと思い込んでしまい、パスした時ふと…出来心で」



嘘半分、本当半分ってとこね。
ま、これだと文槻の方にも私の方にも被害ないでしょ。




…何も言わないな。早く何か言ってよ…



「…………それ…本音?」



………なにそれ…

やっと口開いたと思ったら…
“本当”かどうかじゃなくて、
“本音”かどうか聞いてんの?

その目…憐れみの目で見やがって…!!



「どういう意味ですか?」

「いや………無理してる、顔…」



カッと顔が赤らむのがわかる。

ダメだこの先生。整理的に無理。



「私がさっき言ったことは事実です。それ以上もそれ以下もありません。
それに、授業終わりに文槻さんには謝りに行きました。それでいいですよね」



早く帰りたい…早く…

先生は少し黙って私を真っ黒な目で見つめていたが、ふぅとため息をつくと自分の机に向き合った。



「………わかった……明日までに、反省文1枚」

「…はい…失礼します」



一礼すると職員室を足早に出た。
反省文一枚なら軽いものだ。

とにかく、この先生の近くにはいたくなかった…