その出来事は私の入ったチームの練習試合で起こる。


とりあえず目立たなくて足手まといにはならないように努めることにした。。
なんか文槻とその取り巻き達が話し合ってるけど気にしない。



ピィーーー

試合のホイッスルが鳴る。











私の入ったチームが若干リードして試合は続いている。

まぁ私は置いといて文槻グループは運動神経いいからね。



「夢月さん!!」

「っ!!」



私にパスが回る。
ドリブルしなんとかゴールに向かうが、相手チームによるブロックで進めない。

どうしようかと思っていると、



「夢月さん!!こっち!!」



右から文槻がパスを要求した。
私がこれきりぬいてシュートするよりはあの人がゴールする方が他のヤツらも納得でしょと思い、それに従いボールを投げた。




文槻がニヤリと笑ったのも気づかず。





ドカッ
「キャア!!!!」

「「花梨!!」」
「「文槻さん!!」」

「!!?」



普通に、運動神経良い人なら確実に取れる球が。
文槻の肩に当たり。
派手に転んだ。



「大丈夫!?花梨!!」

「痛い…痛いよぉ…」

「ちょっと夢月さん!パスのこと考えてよ!!花梨に当たって痛がってるじゃん!!」

「私は…そんなに…」



突然の出来事に頭がついていかない。

倒れて泣いている文槻の周りに“大丈夫?”と声をかけながら心配しているのを他人事のように見てる私がいる。



「はぁ!?こうなった原因はあんたなのに言い訳しようとしてんの!!?」

「だから言い訳じゃなくて、普通に投げただけ…」

「それが言い訳だっつってんの!!」



はぁ…なにを言っても聞かないならもういいわ。ぎゃあぎゃあ言ってるのを聞き流し、ふと文槻を見ると、

顔が笑みの形に歪んでいた。


…あんた……もう、怒り通り越してここまでする努力に感心するよ…



「……落ち着け」



東雲先生は、私に向かってくる子の肩を軽く叩き促す。
黙ったのを見てから私に一瞥し、今度は文槻の元に向かった。



「……どこ痛い……」

「肩…と、足…」

「保健室…行けるか…?」

「痛くて…センセ…」

「…………わかった…
こいつ、連れてくから…自習。
あと、夢月…放課後、職員室に来い…」

「…はい」


そう言うと先生は文槻を抱き上げ、保健室へと向かった。