鳴り止まない黄色い歓声。
さすがに耳が痛くなってきたので手で耳を塞ぐ。



先生方が静かにと注意してから数分後にやっと静かになってきた。まだざわついてはいるけど。



『静かにしてくださいね。
え〜臨時化学教師として
【篠座夜行(しのくら やこう)】
先生と、臨時体育教師として
【東雲依昌(しののめ よりまさ)】
先生です。まず、篠座先生から簡単な自己紹介をお願いします』



校長はそう言い茶髪で右耳の後ろの方に三つ編みという変な髪型をした糸目の先生にマイクを渡した。

その三つ編み先生はニコニコしながらマイクを手に取る。



『初めまして皆さん。山田先生に代わり、臨時化学教師として勤めさせて頂く篠座です。
短い間ですがみんなと仲良くできたらと思います。よろしくお願いしま〜す!』



なんか…胡散臭い笑顔…
でもみんな、特に女子はこの笑顔にやられてんな。



『では、次に東雲先生。お願いします』



今度は黒髪天パの美形にマイクを渡す。1人目とは打って変わり無表情だった。



『…あー………東雲依昌です……く……口下手ですが…よろしく…』



暗っ!!短っ!!



それでも声が良いせいか、腰くだけになってる女子がちらほら…

ちなみに私には彼が少しイライラしているようにも見えた。なんでだ。





臨時教師2人は美形だったけど、私には関わりをもたずに終わるだろうな。美形だから。
美形はこんなヤツのことなんか興味もわかないだろうし。



なんで思いながら何気なくステージを見ていると、そっぽ向いていたはずの黒髪天パの先生といきなり目が合った。

長い髪で見え隠れしている目は、真っ黒に濁っているように見え、その黒に取り込まれるかと思い慌てて目をそらす。



目が真っ黒で、“無”しか見えなかった。見てて怖くなった。





あの先生、裏に絶対何かある…




膝を抱え冷や汗をかいていた私を、あの黒髪天パの先生はまだ見つめていた。