コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~



 空は高く風は強く、今日も綺麗な夕日の時間が来る。

 学校中をオレンジに染めて、クラブをしていたらとても空など見上げることが出来ないような、窓に反射して視界を奪い邪魔ですらある夕日。

 それをとても好きな子が横にいる。

 そして、俺はその子がとても好きだ。

 一緒に見てるのに。

 どうしてこんなに遠いんだ。

 理由は判っていた。

 もう一歩近づけないのは、勇気がない俺のせい。

 また夕日に彼女を取られてしまって、それから下校のチャイムが鳴るんだろう。で、別々に帰る。俺はいつもみたいに電車の中で一人反省会?そんなの――――――――――・・・

 ポケットの中で拳を握り締めた。

 ・・・そんなの、ごめんだ。


「・・・行きたいなって思ってた」


 ようやく出たその言葉に、隣の彼女が振り返る。

「え?」

 うわあ、って思った。こっち向いた!

 前に同じようなことがあった時、佐伯は俺が一緒にいるのも忘れて夕焼けに没頭していたのだった。それは本気の見惚れで完全に自分の世界に入っていたのに。今は、俺の言葉に気がついた!

 一気に体温が上昇する。もう一息だ。もう一息、頑張れ俺。

 汗すらかいた拳に更に力が入る。

「隣に行きたいなって。・・・佐伯の、隣に」

 やっと、言った。