「え・・・」
俺はちょっとハイテンションで走りながら叫んだ。
「巻き添えになるぞ!佐伯も走れ!」
後ろでは俺の逃走に怒り狂う(想像だけど)飯森さんと、取り残された寺坂が何かを叫んでいるらしかった。
無視だ無視!その怒りは明日受けるから。明日ちゃんと怒られるから~今は勘弁して~!
唖然としているらしい佐伯の横を通り過ぎざま、最後のチャンスと俺は叫んだ。
「ほら、走れって!」
まさか、着いてきてくれるとは思わなかった。
一緒に走って屋上に転がりこんだ佐伯の荒い息が聞こえる。
俺は上機嫌で屋上のドアをしめて、空を仰いだ。
ああ、広い空を発見だ。・・・それも、佐伯と。ははは、すんげーいい気分。
呼吸を落ち着けるためにドアへと凭れこんで、俺は彼女を見て笑った。
「・・・悪ぃな、佐伯。飯森達が後ろ向いてる間に逃げてきたから、あのままだとお前も捕まると思ってさ」
あははは、つい笑い声まで出る。最高にいい気分だった。
嫌な歌の練習から脱走して、好きな女の子と二人で屋上だ。これが青春ってやつなんだ?そんな気分だった。
彼女は疲れたようでまだ荒い呼吸をしながら、呆れたような困ったような顔で俺を見ている。
「大丈夫、なの?それって」
心配もしているらしい。
俺はにやっと笑った。



