ふざけて謝る俺達をビシビシとしごいて、飯森さんは他のクラスメイトにも激を飛ばす。
「ほらほらそこも!ちゃんと声出してよお願いだから~!」
口パク、そんなに悪いだろうか。
だって歌うのって苦手だ。上手くないし、特別いい声でもない。そんなのハーモニーにいれるだけ無駄だろう、って思うんだけど。
俺は面倒くさくなって窓の外を見る。・・・もうすぐ、佐伯の好きな夕焼けがくる。
やっと練習が終わりに近づいたと思ったその時、飯森さんがじろりと俺と寺坂を睨みつけてこう言ったのには驚いた。
「ちょーっと寺坂君と横内君、待ってくれる?」
「え」
「うお?何だよ飯森~。俺これからクラブいかねーと・・・」
なんか、嫌な予感。
俺と寺坂が身構えたその時、彼女は腰に両手をあてて威嚇ポーズをとりながら言った。
「あなた達は特訓がいると思うの。竹崎さんも協力してくれるっていうから、今から練習よ!」
え、マジで?
「ほら、折角竹崎さんが付き合ってくれるっていうんだからさ!」
俺がぽかーんとしていると、さっきまで迷惑そうにしていた寺坂が、急にわき腹をつついてきた。
「・・・そりゃ仕方ないよな!よし、もう今日はクラブ諦めて俺らも協力しようぜ、横内!」
は?
俺は隣を振り返って、にやけ顔の寺坂の顔をガン見した。すると後ろから飯森さんが噛み付く。
「協力って言葉を使っていいのはあたしらだけよ!君たちが口パクなんかするからー」



