「どんな条件があるんだ?」
「ええとね、たしか。夏場のニューヨークで、穴をあけた紙から覗いてどれだけの距離で見える空の色、とかそんなの。何フィートとか色々決まりがあるんだって」
何じゃそりゃ。そう思ったら呆れた声が出た。
「ふうん。そりゃ確かに面倒くさい・・・」
帽子を被りなおす。また空を見れば、そこには相変わらずどこまでも続いてそうな綺麗なブルー。・・・そうか、これってスカイブルーって呼んじゃダメなのか。だってここ、ニューヨークじゃなくて日本だしな・・・。
つらつらと考えていて、ぼーっと言葉を落とす。
「あまり晴れてるとさ、空が」
丁度、今日みたいに。こんなに気持ちよく晴れた日には――――――――
「ボール打ってても、相手のコートに打ち返さなきゃいけないのに上に打ち上げたくなるときがあるんだ。青空にボールが飛ぶの、ちょっと気持ちよくて」
言ってから、何言ってんだ俺!と思った。さっきから、どうしてこんなこっぱずかしい話ばかりしてしまうんだろう。試合に負けてちょっとおかしくなってんのか?普通の話しろよ普通の話!どうして今日学校にいるんだ、とか、せめていい天気だな~程度の!
だけど恥かしくて佐伯の方を見れないと思っていたら、視界の隅ではどうやら彼女は頷いているみたいだ、と気がついた。
何度か頷いて、それから急に弾んだ声で言う。
「判るなあ!黄色と青が綺麗だよね、くっきりしてるっていうか」
・・・あ、嬉しいな、判るのか、この感覚。そう思って思わず続ける。
「うん。綺麗だなって思う。でもそれを部活中にやるとまずいから、自主練のときにするんだけどな」



