雲はほとんどなくて晴れ上がった青空。秋で天が高く感じる。きっと上空は、また強い風が吹いているんだろう。
俺につられたか、佐伯が同じように空を見上げた気配がした。何となく、並んだままでぼーと眺めてしまう。
「・・・スカイブルーって」
「ん?」
彼女の呟く声。それが聞こえて、俺は隣へ目をうつした。
「ちょっと、面倒臭いんだよ」
・・・は?
呆気に取られた。
エプロンと小さな筆を胸に抱えたままで、佐伯はまだ空を眺めている。考えて言ったのではなく、つい零れてしまった言葉のようだった。
スカイブルーが面倒臭い?なんじゃそりゃ、意味わかんねーな。その俺の心の声が聞こえたのか、まだぼーっとしたままの表情で、佐伯が話し出した。
「・・・後輩がね、調べてたんだけどね、スマホで」
「うん?」
「日本語の空色って晴れた日の昼間の空の色って定義なんだって。曖昧なの、意味が広くとれて」
「うん」
「だけど、英語のスカイブルーってね、やたらと条件があったの」
「・・・へえ」
そうなのか、知らなかった。
俺はぶつかった拍子に地面に落ちてしまっていた帽子をやっと取り上げて、砂を払う。それで、続きは?そう思ったから、自然に促した。



