本来なら夕方までテニス三昧の一日だったはず。勝っても負けても同じだけの汗を流し、試合後の練習は昼食を挟んでいつでも和気藹々と楽しめるはずだったのに、何でまだ昼に俺達は自分の学校に戻ってんだ?
お陰で気分は憂鬱なままで、毎年ならその後の練習で流す汗にひっついて散っていく悔しさも、ぐるんぐるんととぐろをまいて俺の体の真ん中に居座っていた。
かなりどす黒い感情が。
「はい、お疲れ」
顧問がそういって静かに口を開いた。
「悔しい結果だよな。各自がわかってると思うけど、でもこれは普段の練習成果だと思わないといけない。お前たちは頑張ったのかもしれないが、相手はもっと頑張っていたってことだ」
いつもの淡々とした口調で、顧問が話しながら部員を見回している。3年生はずっと暗いままだった。2年生は体が痛いかのような顔をしているし、1年生は膨れたような顔をしていた。
負けた試合の後にきく顧問の言葉。実はこれが、一番辛いのかもしれない。
「以上だ。ちょっと休憩するか。昼食を食べたらまた練習に戻るぞ。――――――――あー、横内」
「はい」
締めにかかっていた顧問が俺を呼んだから、ハッとして顔を上げる。
「これ倉庫まで持っていってくれ。入って左奥の棚だ」
「はい」
試合表を挟んだりするボードなどを大きな袋ごと預かって、俺は一人でグランドを横切り始める。後ろで顧問が、じゃあ2時半まで自由時間、と声をかけているのが聞こえていた。
・・・2時半。約1時間の休憩か。



