コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~



 規模でいえば小さな練習試合で、午前中で終わらせることが出来る。一応団体戦だけど特別ルールで掛け持ちもオッケーとされているから、俺も今回はシングルスもダブルスも出るのだ。

 シングルス3戦、ダブルスが2戦。計5戦で、どちらの学校が多く勝ちを手にしたかの結果で勝ち負けが決まる。団体戦とはそういうことだ。

 自分が負けても学校が勝つってこともあるし、その逆もある。

 だけどどちらにせよ、自分は勝ちたい、それは皆同じだろう。

 自分も勝って、学校も勝つ。それが最高だ。

 こうして秋晴れの青空の下、うちのクラブとっては何よりも大切な「小さな練習試合」が始まった。


 相手の学校は創立も古くて土地が大きく、テニス部はそんなに強くはないのにコートが3面もあるのだ。だからシングルスが2試合とダブルスが1試合、同時にやることが出来る。

 それぞれがそれほど部員の数も多くないから、広いコート敷地内に散らばって応援やらに励むことになる。

 綺麗な青空。風も微風。俺は気分が良かった。ついクセでラケットを手の中でクルクルと回す。

 相手の緊張を読み取って、ちょっと笑うほどの余裕が、その時にはまだあった。

 試合開始の合図、まずは俺のサーブから。

 左手に持った黄色いボールを青い空へとあげる。タイミングを掴んでの右手、それから両足が浮いて―――――――――全身をバネのように弾ませた。



「やったな」

 後からドン、と背中を叩かれて振り返る。

 汗だくの顔をタオルで隠しながら、幸田が立っていた。